2017/06/17

良書:『人間ドックの9割は間違い 』(牧田 善二 (著)、幻冬舎新書)

人間ドックの問題点、受けるべき検査がよくわかる良書。5点満点で5点。

人間ドックに不信感を持っている人、意味のある健康診断・検査を受けたいと考えてる人におススメ。

著者の牧田善二医師は年間3000人以上の患者を診る糖尿病専門医。

例年50人弱の患者にがんが見つかるが、ある年の1人を除いて全員が早期発見→克服しているそうだ。

ということは、この先生のいう検査方法は実効性があるものなのだろう。



前半分が人間ドックの問題点の指摘。要点だけ。

人間ドックはありふれた死なない病気を見つけることはできる。肝機能の低下、痛風発作のおそれ、骨密度の低下など。

しかし、5年生存率の低いがん(すい臓がん、胆のうがん、胆管がん、食道がん、肝臓がん、肺がん)は見逃されやすい。

バリウム検査、超音波(エコー)検査、胸部エックス線検査の精度は低く、この検査でガンが見つかった場合はすでに手遅れ、というか、手遅れなガンすら見つからないこともある。ナニソレw

マンモグラフィ、PET検査、腫瘍マーカーもバツ。

精度の高い胃カメラなどの検査は熟練医師でないとできない=人件費がかかる=人間ドックの経営者はやりたがらない、という構図。

2014年に人間ドック学会と健康保険組合連合会が発表した血圧やコレステロールの新基準はかなり甘い。日本医師会、日本高血圧学会、日本動脈硬化学会が「そんなの信じるな」と注意喚起している。ナニソレw

人間ドック業者にとって客は「健康な人=まだ病気になってない人」。病気が見つかると、客は人間ドックではなく病院に行っちゃうから、ゆるい基準なのではないか?というビジネス上の理由。





では、一般市民である我々はどう病気を見つけたらいいのか?

後半部分が受けるべき検査の説明。


  • 基本→血液検査、尿検査、血圧測定は毎年やる。血圧は自分で毎日測り、高いと思ったら循環器専門医を受診する。
  • 首から下腹部まで→CT(×胸部エックス線検査、×超音波検査)
  • 胃と腸→内視鏡カメラ(×便潜血検査)
  • 脳→MRI(脳梗塞、脳動脈瘤、脳腫瘍、アルツハイマー病(認知症)がわかる)
  • 60歳を過ぎた男性→PSA(前立せんガンの早期発見に有効)
  • 20歳を過ぎた女性→毎年子宮けいがん細胞診(ゼロ期であれば治癒率100%)


かように、自分に必要な検査をカスタマイズして受けましょう、という提案をしている。




うまい治療ができる医者、スーパードクターはどこにいるか?といったいい医者の見分け方のアドバイスもある。

最後に著者運営の「AGE牧田ドッグ」で行っている検査の説明、料金がしっかりのっている。5ページくらい。





AGE牧田クリニックのサイトを見ると、糖尿病合併症治療に保険を使わない自由診療を取り入れたり、PCやスマホで診療を受けられる「オンライン通院」なども行っている。

新しい方法に貪欲な勉強熱心な先生なんだな~、という印象。

1951年生まれの66歳ということだが、顔写真を拝見すると若いな。(オレは医師の外見は重要だと思うんでw)

人間ドック、というか、がん発見の効率的な検査についてはいろいろな書籍があるので、あともう数冊読んでみて同じこと書いてあれば、きっとこれが最適解なのだろうと思う。

文章は読みやすく、主張に説得力もあり、大変勉強になった。





1点、付記しておくとすれば、「日本人の2人に1人がガンになる」についてだが、ガンの罹患率が高くなるのは50代以上だ。

ガン保険を真剣に検討したことがある人は知ってると思うけど。

60歳までの現役世代のうち、ガンになる確率は10人に1人以下に過ぎない。




近親者がガンでバタバタ死んでいたり、不健康な生活習慣を送ってる人は要検査だが、フツーに生きてる人はそんな心配しなくてもいいと思う。





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